遺言書の持つ効力の期間は?遺言書の効力を失ってしまうケースも徹底解説

岡高志行政書士事務所
監修者
岡高志行政書士事務所 行政書士 岡 高志
最終更新日:2024年09月11日
遺言書の持つ効力の期間は?遺言書の効力を失ってしまうケースも徹底解説
この記事で解決できるお悩み
  • 遺言書の効力はいつまで続くのか?
  • 遺言書の種類により有効期限が変わるのか?
  • 遺言書の効力を失ってしまうケースは?

「遺言書が持つ効力期間を知りたいが、正確な期間がわからない…」という方必見!

この記事では遺言書の作成を検討している方に向けて、遺言書の代表的な種類と有効期限ついて解説します。最後まで読めば、遺言書の効力を失ってしまうケースもわかります。

遺言書には法的な効力があり、遺言者の望む分配方法や遺産の扱いが反映されます。遺言書と遺留分のどちらが優先されるかも紹介しているため、親や親族の遺言書の割合に疑問がある方もぜひ参考にしてください。

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遺言書の効力が持つ期間

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遺言書に時効はありません。原則として遺言者の死後に有効となりますが、書かれた内容が無効な場合や、後に新たな遺言書が作成された場合は、前の遺言書の効力は失われます。

遺言書には、作成日が明記されていることが望ましいです。遺言書に作成日を明記することで、遺言書が最新かつ有効なものであると直ぐに確認できます。

遺言書の代表的な種類4つと有効期限

遺言書は、自分の死後に遺したい人や財産に関する意思を記した書類であり、法的な効力を持ちます。ここでは、遺言書の代表的な種類と有効期限を解説します。

自筆証書遺言 遺言者自身が手書きで遺言書を作成し、署名・押印する遺言書
公正証書遺言 公証人が立ち会って、遺言者の意思を確認し、書面にまとめた遺言書
秘密証書遺言 遺言者が第三者に秘密裏に託した遺言書
特別方式遺言書 病気や災害などで、通常の遺言書の作成方法が困難な特殊な状況下で作成される遺言書

1. 自筆証書遺言:有効な形式であれば期限なし

自筆証書遺言とは、遺言者自身が手書きした遺言書のことです。自分で書いた遺言書であることを証明するため、遺言者自身が署名し、日付を記載する必要があります。遺言者が自筆証書遺言を作成する場合は、証人の立会いは必要ありません。

自筆証書遺言には有効期限は存在せず、遺言書を10年以上前に作成した場合でも、有効な形式であれば期限はありません。

2. 公正証書遺言:有効な形式であれば期限なし

公正証書遺言とは、遺言者自身が口述する間に公証人が立ち会い、公証人が遺言書を作成、かつ遺言者と証人が署名することにより作成される遺言書です。公証人が立ち会って遺言者が意思表示を行うため、遺言者の意志が明確かつ正当であることが証明されます。

公証役場で公正証書遺言を保管する期間は20年で、過ぎると原本は失われてしまいます。公正証書遺言を作成した際の写しを保管しておけば、遺言内容の有効期限はありません。

公正証書遺言書の基本的な情報は、以下の記事で詳しく解説しているため参考にしてください。

3. 秘密証書遺言:有効な形式であれば期限なし

秘密証書遺言とは、遺言者が自分で作成した遺言書を、公証人や証人などの第三者に開示せず、遺言者自身で保管しておく遺言書のことです。遺言者の意思を書面に残せる点で自筆証書遺言に似ていますが、作成時に第三者に開示する必要がない点が異なります。

遺言者の死後に勝手に開封すると、法的に違法行為にあたるため注意しましょう。秘密証書遺言を開封するためには、相続人が裁判所に開封許可を求める必要があります。

封筒内にある遺言書が有効な形式である限り、いつ発見しても有効期限に制限はありません。

4. 特別方式遺言書:遺言作成後に6カ月間生存した場合に無効

特別方式遺言とは、通常の遺言書の作成方法が困難な特殊な状況下で作成される遺言書のことです。たとえば、遺言者の死期が迫っている場合や、災害で孤立した環境にあり普通の遺言書を作成できない場合に利用されます。

命の危機を回避して6カ月後も生存している場合に遺言は無効になります。

遺言書の効力を失ってしまうケース4例

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遺言書は、自分の死後に残したい財産に関する意思を明確にできる法的な文書です。ここでは、遺言書の効力が失われてしまう4つのケースを解説します。

  1. 新たに別の遺言書が作成された場合
  2. 遺言書の署名や押印に不備が見つかった場合
  3. 遺言者の意思が不明確だった場合
  4. 遺言書の内容が公序良俗に反する場合

1. 新たに別の遺言書が作成された場合

遺言者が後に新たな遺言書を作成した場合には、前の遺言書の効力は失われます。後の遺言書が不法行為に基づくものであれば、前の遺言書の効力が認められます。

2. 遺言書の署名や押印に不備が見つかった場合

遺言書において、遺言者の署名や押印が欠けている場合、遺言書の効力が失われる可能性があります。これは、遺言書が遺言者の意思表示であることを確認する際に必要なためです。他にも以下の要素が抜けている場合は、遺言書の効力が失われる可能性があるため注意しましょう。

  • 日付が記載されていない
  • 遺言者の署名や押印がない
  • 証人の署名がない
  • 証人の住所氏名が記載されていない
  • 証人が法定要件に該当しない

秘密証書遺言は第三者に開示する必要がないため、証人は記載する必要がありません。遺言書の種類ごとに必要な要素が何なのかを確認しましょう。

3. 遺言者の意思が不明確だった場合

遺言書は、遺言者が自分の死後に残したい人や財産の明確な意思表示が必要です。もし遺言者の意思が不明確だった場合、遺言書の効力が失われてしまうでしょう。

たとえば、書いた内容が文字化けしていた場合や、表現が不明確で解釈が難しい場合には、遺言書の効力が認められない可能性があります。遺言者の意思表示に疑問がある場合は、遺言書の内容が裁判所により解釈されることになります。

4. 遺言書の内容が公序良俗に反する場合

遺言書の内容が公序良俗に反する場合、遺言書の効力が失われる可能性があります。たとえば、遺言者が自己の死を望んでいる旨を遺言書に記載している場合や、遺言者の不倫相手や浮気相手に対する相続権の付与などが当てはまります。

遺言書に記載する内容は、法律に反しない範囲であること、相続人や遺族への配慮を意識しましょう。

遺言書と遺留分で効力を優先されるのは?

遺留分は最低限の相続分を保証するものであり、遺言書で遺留分を上回る分配を指示された場合でも、遺留分は優先されます。遺言書と遺留分は法的に別のものであり、遺言書の効力と遺留分の権利はそれぞれ独立して考えられます。

遺言書は被相続人が死亡した後に有効になり、その内容に従って相続人が財産を分割します。遺留分は被相続人が死亡した際に、法律で定められた相続人が最低限継承できる割合のことです。両者の優先順位はなく、どちらも法的に保障された権利です。

遺留分の割合

法定相続分と遺留分の割合は、被相続人の配偶者や子供、続柄により異なります。被相続人の遺産総額が遺留分の割合よりも少ない場合は、遺留分に満たない分を遺産分割協議により分配されます。

以下に遺留分の割合を表にしているため、参考にしてください。

法定相続人 法定相続分 遺留分
配偶者のみ 1 1/2
1人の子供のみ 1 1/2
両親のみ 1 1/3
兄弟姉妹のみ 1 なし
配偶者と子供 配偶者:1/2
子:1/2
配偶者:1/4
子:1/4
配偶者と両親 配偶者:2/3
両親:1/3
配偶者:1/3
子:1/6
配偶者と兄弟姉妹 配偶者:3/4
兄弟姉妹:1/4
配偶者:1/2
兄弟姉妹:なし

遺言書に法的効力を持たせる書き方の手順

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遺言書を作成する際は、遺言書が法的に有効であることを確認するため、一定の手順に従う必要があります。ここでは、遺言書に法的効力を持たせるための手順を紹介します。

  1. 書式の準備
  2. 必要な情報の明示
  3. 遺言の内容を決める
  4. 署名・押印
  5. 遺言書の保管

1. 書式の準備

遺言書に法的効力を持たせるために、遺言書の書式を準備しましょう。遺言書は一般的に手書きで作成しますが、パソコンやスマートフォンなどで作成することも可能です。遺言書の書式は、法律事務所や司法書士などに相談することで適切な書式を準備できます。

2. 必要な情報の明示

遺言書に必要な情報は、遺言者の氏名や住所、生年月日、相続人の氏名や続柄、遺産分割の方法などがあります。これらの情報が明示されていない場合、遺言書の効力が低下する可能性があります。

3. 遺言の内容を決める

遺言者は、遺産の相続人や財産の分配方法、埋葬方法、遺言執行者など、自分の希望や意思を具体的に記載する必要があります。遺言書に記載された内容が明確であれば、相続人間での紛争やトラブルを避けられます。

4. 署名・押印

最後に遺言者本人が署名や押印をしましょう。遺言者本人が署名や押印をすることで、自分が作成した遺言書であることが明確になり、遺言者本人の真意を反映することが証明されます。

遺言書において署名や押印がされていない場合、遺言書の効力は疑わしいものになり、法的なトラブルの原因となる可能性があります。

5. 遺言書の保管

遺言書は、自宅の引き出しや金庫に保管することも可能ですが、遺言書の存在を誰かに知らせておく必要があります。保管場所によっては紛失や盗難のリスクがあるため、銀行や弁護士などの専門家に預ける方法もあります。

まとめ

遺言書は、自分の死後に残された財産や家族に対する思いを形にする大切な文書です。遺言書が法的な効力を持つことで、遺言者の望む分配方法や相続人の決定が尊重され、家族間のトラブルを未然に防げます。

しかし、遺言書の作成には慎重な準備と専門家のアドバイスが必要です。比較ビズでは、数多くの弁護士が登録しており、遺言書作成の際に必要な情報やアドバイスを受けることができます。ぜひ比較ビズを利用して、遺言書の作成に役立つ情報を入手してください。

監修者のコメント
岡高志行政書士事務所
行政書士 岡 高志

東京都・大田区で議員・首長選挙に出馬経験がある東京都で一番有名な実務派行政書士。1976年大阪府寝屋川市出身。東京大学法学部卒業。東京大学院工学研究科修了と、文理にウイング広め。信託銀行、証券会社、外資投資会社、区議会議員と職歴は豊富。行政書士の業務領域も広く、建設・宅建・産廃・運輸・古物業の許可申請、外国人在留資格申請、会社設立、NPO法人設立、補助金・融資相談、契約書作成、遺言執行・相続手続、離婚協議書・遺言書はWEB自動作成サイトを監修。セミナー年間約60回と相談対応にも定評がある上に、自社サイトに設置したAIチャットボットも相談を受け付ける。

死後の憂いをなくすためにも、遺言書はぜひ書いておきたいものです。ちょっとしたミスで遺言書が無効になる。そうした事例を記事で紹介されています。そんなミスするかなと思われる読者もいらっしゃるかと思いますが、法的な書面を作りなれていない人はあり得ないと思われるようなミスをしてしまうものです。

記事では、裁判所での検認手続についても整理されています。公正証書遺言であれば検認不要でしたが、自筆証書遺言であっても法務局保管をしている場合は検認不要となりました。遺言書が無効にならないように専門家を介在させておくほうがいいのですが、専門家の敷居を高く感じられてらっしゃる人も多く、自分で遺言書を書く人は多いものです。

下記のWEBサイトに、遺言書自動作成サイトを開設しています。そちらをご利用いただけるとよいかと思います。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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